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小児感染症
(子どものウイルス感染)

小児の感染症とは

小児の感染症とは赤ちゃんは、母体から様々な免疫を授かって生まれてきますが、成長するにつれてその免疫は弱まっていきます。そのため、徐々に様々な感染症にかかりやすくなります。
感染症とは、ウイルスや細菌などが体に入り、増えていくことで、発熱や咳などの症状が出る状態(発症)を指します。中には、重い疾患に繋がるものもあります。
予防接種は、そうした感染症にかかるのを防ぎ、かかっても症状が軽く済むように、あらかじめ体に「免疫」という防御力をつける方法です。
当院では予防接種に加え、感染症の診療も行っていますので、お気軽にご相談ください。

当院の感染対策について

1. 一般診察と予防接種・健診の入口を分けています

当院では入口を2か所に分け、一般診察と予防接種・健診でご来院されるお子さまが同じ待合室にならないよう導線を分離しています。
待合室もそれぞれ完全に分かれています。

2. スタッフの健康管理の徹底

スタッフ全員が日々の体調管理に努めております。
また、手洗いや手指のアルコール消毒を徹底し、常にマスクを着用して診療にあたっています。

3.  発熱患者さんの問診の徹底

発熱のある患者さまには、事前の問診を徹底しております。
お手数をおかけしますが、円滑な診療のためご協力をお願いいたします。

4. 待合室を個室化しました

発熱のある患者さまは個室にご案内いたします。
また、月齢の低いお子さまについても、できる限り個別にお待ちいただけるよう配慮しております。
特別待合室も活用し、安心してお過ごしいただける環境を整えています。

5. 院内の待ち人数を制限しています

院内の混雑を防ぐため、診療は時間予約制としています。
混雑時には、お車でお待ちいただく場合もございます。
スムーズなご案内のため、予約時間に合わせてご来院くださいますようお願いいたします。

6. こまめな消毒・換気の実施

  • 院内全体の定期的な換気を行っています。
  • 発熱患者さまが使用された場所は、椅子の拭き取り消毒や空間消毒を実施しています。
  • 午前・午後の診療終了後には、接触部位の重点的な消毒を行っています。

7. 院内のおもちゃについて

キッズルームや診察室内のおもちゃは、診療後および適宜消毒を行っております。お子さまが安心して過ごせる環境づくりに努めています。

8. 空間的分離の徹底

新型コロナウイルスや水痘など、感染力の強い感染症が疑われる患者さまにつきましては、空気隔離を実施しております。

子どもが罹患しやすい感染症

熱性けいれん

熱性けいれんは、高熱によって突然起こるけいれんです。生後6ヶ月~5歳のお子様によく見られます。10人に1人のお子様が経験するとされ、珍しい現象ではありません。
熱性けいれんを経験したお子様のうち、約2/3は1回だけで済みますが、約1/3は再発する可能性があります。そのため再発した場合の適切な対応を知っておくことは重要です。
また、「発熱によってけいれんが起こる疾患は、熱性けいれんだけではない」という点を覚えておくことも重要です。お子様がけいれんを起こした場合は、医療機関で適切な診察を受けることが大切です。

突発性発疹

突発性発疹は、ヒトヘルペスウイルス6型および7型によって引き起こされます。生後6ヶ月~2歳頃のお子様に多く見られ、突然の高熱と発疹が主な特徴です。
発熱は突然始まり、通常3~4日間続きます。この期間、咳や鼻水などの風邪のような症状はほとんど見られませんが、下痢を起こす場合もあります。
発熱が治まると、全身に発疹が現れます。発疹が現れると、お子様がぐずったりするケースが多く見られますが、心配する必要はありません。発疹は通常、2~3日で薄くなり、やがて消失していきます。
この疾患は発疹が現れてから診断されるものであり、発疹が現れる前では診断が難しいことをご留意ください。突然の高熱で不安がある場合は、少しでも異変を感じた時点でお早めに当院へご相談ください。

溶連菌感染症

溶連菌感染症は、主に喉の痛みや発熱を伴う疾患です。特に、喉の奥や口の上部に小さな出血点が見られたり、体や手足に発疹が現れたりする特徴があります。
発疹が現れる場合は「しょう紅熱」とも呼ばれます。また、「イチゴ舌」と呼ばれる赤い舌もこの疾患の特徴です。さらに、腹痛や嘔吐などの症状も現れることがあります。
治療には、連鎖球菌に有効な抗生物質が使用されます。治療を開始してから1~2日で熱は下がりますが、熱が下がっても、医師の指示に従って、お薬がなくなるまで飲み続けてください。お薬を途中でやめると再発したり、リウマチ熱に繋がったりする場合がありますので、自己判断は避けましょう。

アデノウイルス感染症

アデノウイルス感染症は、主に喉の炎症(咽頭炎・扁桃炎)、目の充血(結膜炎)、そして腹痛や下痢などお腹の不調(胃腸炎)の3つの症状として現れることが多くあります。

  • 喉の炎症(咽頭炎・扁桃炎):39~40℃の高熱が4~5日間続きます。喉の痛みが特徴的な症状です。
  • 目の充血(結膜炎):目が赤く腫れ、目やにが出る場合があります。
  • お腹の不調(胃腸炎):下痢、吐き気、腹痛などが起こります。

アデノウイルスに対する特効薬は、残念ながら今のところありません。
アデノウイルスは感染力が強いため、周囲への感染拡大を防ぐ配慮が大切です。

RSウイルス感染症

RSウイルス感染症は、お子様の風邪の原因のひとつです。1度かかればもうかからないわけではなく、繰り返し感染するリスクがある疾患です。1歳までに70%、2歳までにほとんどのお子様が少なくとも1回は感染すると推定されています。
大きなお子様では、軽い咳と鼻水の症状がほとんどで1週間程度で回復します。しかし、小さな赤ちゃんでは、鼻水が出た2~3日後に、息切れや吸音の変化、母乳やミルクを飲みにくくなるなどの症状が現れます。
生後6ヶ月未満の赤ちゃん、早産の赤ちゃん、先天性心疾患や肺疾患のあるお子様は、特に注意が必要です。
RSウイルスには特定の治療薬がなく、症状の緩和が治療の中心となります。通常は通院での治療が可能ですが、ミルクが十分に飲めない、うまく呼吸できないなどの症状がある場合は入院が必要になることもあります。

ヒトメタニューモウイルス

ヒトメタニューモウイルス感染症は、お子様の風邪の原因のひとつです。ヒトメタニューモウイルスは、2歳未満で50%以上、10歳未満のお子様ではほぼ全員が一度は感染する、感染力の強いウイルスです。お子様によっては、何度も感染する場合もあります。
典型的な症状は、咳、鼻水、息苦しさ、発熱などです。発熱は5日ほど続く場合があり、その場合は医師にご相談ください。
ヒトメタニューモウイルスに特定の治療薬はなく、症状の緩和が治療の中心となります。通常は通院での治療が可能ですが、ミルクが十分に飲めない、うまく呼吸できないなどの症状がある場合は入院が必要になることもあります。

インフルエンザ

インフルエンザは、突然の高熱と全身の倦怠感が特徴の疾患です。喉の痛み、頭痛、筋肉痛を伴う場合もあります。咳や鼻水も同時に現れ、まれに吐き気や下痢などの症状も現れます。発熱は通常4~5日間続き、お子様では一旦下がった後、数日後にまた上がる場合もあります。(二峰性発熱)
診断は、迅速検査キットを用いて行いますが、発症から12時間経過していない、あるいは発症から5日以上経過している場合、検査の精度が落ちる可能性があります。
治療には、タミフル、リレンザ、イナビルなどのインフルエンザ薬を使用しますが、多くの場合、お薬を使わなくても自然に治ります。発症後48時間以内にお薬を服用すると、回復期間が 0.5~2日ほど短縮されると考えられています。
発熱した日を0日目として発症後5日間、および発熱が治まってから2日間(未就学児の場合は3日間)は、登校や登園はできません。

マイコプラズマ

マイコプラズマ肺炎は、幼児期~学齢期のお子様によく見られる呼吸器の感染症です。
鼻水があまり出ず、乾いた咳や微熱が主な症状とされています。全体の約10%は肺炎に進行するケースもありますが、熱があっても比較的元気に過ごせることが多いのが特徴です。
治療には抗生物質が用いられますが、軽度の上気道炎や気管支炎であれば、自然に回復することもあります。ただし、呼吸困難や、水分がとれないほどの重症例では、入院が必要となることもあります。

クループ症候群

クループ症候群は、主に6か月〜3歳頃の乳幼児に多く見られる病気です。かぜのウイルスが原因で、声帯のある喉頭や気管に炎症が起こり、腫れることで空気の通り道が狭くなります。

主な症状

  • 犬が吠えるような特徴的な咳(犬吠様咳嗽)
  • 声のかすれ(嗄声)
  • 息を吸うときに「ゼーゼー」「ヒューヒュー」と音がする(吸気性喘鳴)
  • 息苦しさ・胸のへこみを伴う努力性呼吸

症状は夜間に悪化することが多く、突然の咳や呼吸困難で発症することもあります。

診断と治療

診断は、特徴的な咳や呼吸音などの症状から行います。必要に応じてレントゲン検査などで確認することもあります。
治療は、炎症や腫れを抑えるために吸入薬ステロイド薬を使用します。軽症の場合は自宅での安静・水分補給・加湿で回復することもありますが、呼吸が苦しそうな場合は入院が必要となることもあります。

手足口病

手足口病は、エンテロウイルスによって引き起こされるウイルス感染症です。軽度の発熱を伴う場合もありますが、発熱が見られない場合もあります。発症後2日目頃、手のひら、足の裏、足の甲、口の中などに小さな水疱が現れます。この水疱は、お尻や膝にも現れる場合があり、かゆみを伴うこともあります。
水疱が口の中にできると喉の痛みも悪化し、食事が困難になることもあります。残念ながら、手足口病には特定の治療法はないため、症状に応じて、痛みや不快感を和らげる対症療法を行います。手足口病は通常、3~7日程度で自然に治ります。

ヘルパンギーナ

ヘルパンギーナは、「エンテロウイルス」というウイルスが原因で起こる感染症です。突然の高熱に加えて、喉の強い痛みやよだれの増加、吐き気、腹痛などの症状が見られます。口の中、特にのどの奥にある口蓋垂(いわゆる「のどちんこ」)付近には、小さな水疱やただれ、赤く腫れたような変化が現れるのも特徴です。
発熱は通常1~4日程度で落ち着き、口の中の症状も多くの場合1週間ほどで軽快します。ウイルス自体に効く特別な治療薬はありませんが、解熱薬や鎮痛薬などを使ってつらい症状を和らげる対症療法が行われます。
しっかりと食事がとれるようになり、体調が回復すれば、学校や保育園への出席も問題ありません。

はしか(麻疹)

はしか(麻疹)は、麻疹ウイルスによって引き起こされる非常に感染力の強い感染症です。空気中を漂うウイルスによって感染が広がるため、同じ空間にいるだけでも感染することがあります。
感染してから症状が現れるまでの潜伏期間はおよそ10~12日です。発症初期には、発熱、咳、鼻水、目の充血や痛みなど、風邪に似た症状がみられます。その後、いったん熱が下がったあとに再び高熱となり、麻疹特有の発疹が全身に広がります。この発疹とともに現れる高熱は、通常3~4日ほど続きます。
麻疹は重い合併症を起こす危険性が高い感染症で、肺炎や脳炎など、命に関わる重篤な状態に陥ることもあります。インフルエンザと比べても死亡率は約10倍とされており、特に乳幼児や免疫力の弱い方は注意が必要です。
現在のところ、麻疹ウイルスに直接効く治療薬はありません。治療は症状を和らげるための対症療法が中心となります。そのため、最も効果的な予防法はワクチン接種です。定期接種を受けていない場合や、免疫が十分でない可能性がある方は、早めの接種をおすすめします。
また、お子様が麻疹と診断された場合は、たとえ熱が下がっても解熱後3日間は登園・登校を控える必要があります。感染拡大を防ぐためにも、医師の指示に従い、十分な休養をとりましょう。

風疹(3日はしか)

風しんは、風しんウイルスによって引き起こされる感染症で、主に咳やくしゃみなどの飛まつを介して感染します。潜伏期間は2〜3週間ほどで、感染しても症状が軽い場合も多く、気づかないうちに周囲へ感染を広げてしまうことがあります。
主な症状は、発熱・発疹・リンパ節の腫れの3つです。淡い赤い発疹が顔から始まり、全身に広がります。発熱は比較的軽く、2〜3日で下がることが多いため、「三日はしか」と呼ばれることもあります。
多くの場合は軽症で済みますが、妊娠初期の女性が感染すると、胎児に影響を及ぼすことがあり、先天性風しん症候群(心疾患・難聴・白内障など)を引き起こす可能性があります。そのため、妊娠を希望する方やその家族も含めて、風しんの免疫を持っていない場合は、予防接種を受けておくことが非常に大切です。
治療は対症療法が中心で、発熱や発疹に対して安静・水分補給を行います。感染拡大を防ぐため、発疹が消えてから少なくとも3日間は登園・登校を控える必要があります。

おたふくかぜ(流行性耳下腺炎・ムンプス)

おたふくかぜは、ムンプスウイルスによって引き起こされる感染症で、主に咳やくしゃみなどによる飛まつ感染や、接触によって広がります。潜伏期間は2〜3週間ほどで、発症の数日前から周囲にうつす可能性があります。
最も特徴的な症状は、耳の下(耳下腺)の腫れと痛みです。通常は片側から始まり、1〜2日以内にもう片側も腫れてくることが多く、食事や会話の際に痛みが強くなることがあります。発熱や頭痛、全身のだるさを伴うこともあります。
多くは1週間ほどで自然に回復しますが、まれに髄膜炎、難聴、精巣炎(男児)、卵巣炎(女児)などの合併症を起こすことがあります。特に思春期以降の発症では合併症のリスクが高まります。
治療には、ウイルスに直接効く薬はなく、安静・水分補給・痛みの緩和などの対症療法が中心です。刺激の少ない食事を心がけ、痛みが強い場合は冷たいタオルなどで患部を冷やすと楽になることがあります。
予防にはおたふくかぜワクチンの接種が最も有効です。定期接種ではありませんが、1歳を過ぎたら2回の接種が推奨されています。ワクチンによって発症や重症化を防ぐことができます。
登園・登校の再開は、耳下腺の腫れが出てから少なくとも5日が経過し、全身の状態が良くなってからが目安です。感染拡大を防ぐためにも、完全に回復するまで安静に過ごしましょう。

水ぼうそう

水ぼうそうは、水痘・帯状疱疹ウイルスによって起こる感染症で、空気感染・飛まつ感染・接触感染によって広がります。潜伏期間は10〜21日ほどで、発症の1〜2日前から他人にうつす力があります。
最初は発熱や倦怠感などの風邪のような症状で始まり、その後、赤い発疹や水ぶくれが全身に広がるのが特徴です。水ぶくれは数日でかさぶたになり、かさぶたがすべて乾くまでに1〜2週間かかります。
多くは自然に治りますが、かゆみが強く、掻き壊すと跡が残ることもあります。また、免疫力が弱い方では重症化し、肺炎や脳炎などを起こすこともあります。
治療は、発疹やかゆみを抑える薬、抗ウイルス薬などを使用します。発症した場合は、すべての発疹がかさぶたになるまで登園・登校を控える必要があります。
最も有効な予防法は水痘ワクチンの接種です。定期接種として1歳から2回接種が推奨されています。ワクチン接種により、感染や重症化を防ぐことができます。

伝染性紅斑(リンゴ病)

伝染性紅斑(でんせんせいこうはん)は、ヒトパルボウイルスB19によって引き起こされる感染症です。主に咳やくしゃみなどの飛まつ感染で広がり、幼児から小学生くらいの子どもに多くみられます
感染から発症までの潜伏期間はおよそ1〜2週間です。発疹が出る前の時期(風邪のような症状がある時期)が最も感染力が強く、発疹が出るころにはほとんど人にうつさなくなるという特徴があります。
初期には、発熱や倦怠感、頭痛、関節痛などの軽い風邪のような症状が現れます。その後、両ほほが赤くなる特徴的な発疹が現れます。この発疹が、まるでリンゴのように見えることから「リンゴ病」と呼ばれています。数日後には、腕や足、体にも網目状の発疹が広がることがあります。発疹は1〜2週間ほどで自然に消えますが、日光や入浴などで再び一時的に赤くなることもあります。
多くの場合、症状は軽く自然に治りますが、まれに関節痛や貧血を起こすことがあります。また、妊娠中の方が感染すると胎児に影響を及ぼすことがあるため、妊婦の方との接触には注意が必要です。
治療は特別な薬はなく、症状に応じた対症療法が行われます。発疹が出てからは感染力がほとんどないため、全身状態が良ければ登園・登校が可能です。ただし、発熱や体調不良がある場合は無理をせず安静に過ごしましょう。